目を覚ますと窓から薄明かりが漏れていた。
夜が明けた。でも何時かはわからない。
鳥のさえずりが聞こえる。
ゆうべからの強い風は、幾分やわらいだけど、びゅうびゅうと窓の隙間から吹き込んでくる。
布団のぬくもりの中でいつまでもウトウトしていたい気分。
でも、昨日のことが忘れられなくて思わず飛び起きた。
おばあちゃんちの勝手口のドアを開けると、まるでどこでもドアのように、そこには青い空と新緑に満ちた山々が連なっていた。
5月の心地よい風が吹き抜けて、私を散歩へといざなう。
都会の喧騒から離れてしばしの田舎生活。
嵐のような風が山の木々を激しく揺らし、轟々とザワザワと騒ぐ。
近くの沢からの清らかな水の流れに耳を澄ませる。
山のあちこちでウグイスが口笛を吹いている。
足元にはクローバーが生い茂り、四つ葉を探してみたり。(見つからなかったけど)
タンポポにとまったテントウムシを捕まえてみたり。
大きな毛虫もそこいらじゅうに、ふさふさの毛をなびかせて葉っぱを食べていた。
いつかあの子たちはきっと美しい蝶になるのね。
大きなつがいのシラサギが舞い降りては飛び立ち、あたりを旋回している。
そうそう、ゆうべときたら、満天の星空。
いつまでも夜空を眺めていたい、そんな夜だった。